アラフォーのヘッポコピーライターが自らの失敗談で綴る、自戒と猛省の広告コラム


若者が辞めるとき

アラフォーのヘッポコピーライターが自らの失敗談で綴る、自戒と猛省の広告コラム。


第39回 <若者が辞めるとき>

最近の若いヤツはすぐ辞める!

知り合いのAD(アートディレクター)のタカさん(46歳、♂)が珍しく声を荒げた。タカさんの本名はタカではない。AV男優の加藤鷹氏にそっくりの話し方をするので、みんなからそう呼ばれている。レイアウト(文字とか写真の配置を決める作業)をしながら、

いいの?いいの?ロゴの位置、ここがいいの?
文字、もっと太くする?ねえ?太いのが好きなんでしょ?
あ~、すんごいよ、ほら、もうこんなになっちゃって(以下略)

と言いながら、若い女子の表情を横目でチラ見するのが三度の飯より好きという無類の変態である。なんでも最近、OB訪問のときから面倒を見ていた子が辞めたらしい。

アンタ、武蔵美(武蔵野美術大学)のクセに、
なんで慶應のOB訪問受けてんだよ!

というツッコミをグッと飲みこむ。いつもは温厚(かつ変態)で知られる仏のタカさんが怒っているのだ。タダごとではない。話はその後輩が退職の挨拶に来たときのこと。辞める理由を聞くと、

やりたい仕事ができないから

ということらしい。タカさんは珍しく真剣に「いいの?いいの?本当にいいの?」と聞いたが、その子の意思は固かった。

近頃の若い子はメンタル弱いんだよね…。ボヤくタカさんの話を聞きながら、以前某メーカーの人事部の人から聞いた話を思い出した。どこの会社でもそうだと思うが、入社面接で面接官が志望部署を尋ねるときの常套句として、

ウチはいろんな部署があるから、
希望の部署に配属されないかもしれないよ?それでも平気ィ?

というのがある。リクルートスーツ姿の大学生はたとえ内心、

平気なワケねーだろ!殺すぞジジイ!

などと思っていても、満面の笑顔で、

もちろんです!

と答えるのがお約束である。初めて浴びる建前と本音の洗礼。大人になるって汚れることなんだ…。しかし最近はそうではないらしい。そんな質問をしようものなら、

じゃあ辞めます

と答えてさっさと別の会社に行くそうだ。彼らの言い分はこうだ。

やりたいことがあるから入社するのに、
できないならいる意味なくな~い?


実にごもっとも。彼らの気持ちはよくわかる。僕自身、コピーライターになるまでの7年間、毎日30回くらい「辞めたいなぁ…」と思っていた。ビールやジュースのオマケ(ベタ付けといいます)を作ったり、消費者に調査をしたり、営業としてクライアントと交渉したり、いろんな人といろいろやった。でもどれひとつ面白いと思えなかったし、向いてるとも思えなかった。一秒でも早く遊びにいくことだけが生き甲斐のダメ社員の極み、それが僕だった。受験で培った要領のよさでどうにか入社したものの、興味がないから、やる気もない。一生懸命になってる周りの人たちを見ても、何がそんなに大事なのかわからない。そんなんだったらとっとと辞めればいいのに、あのときの自分にはその勇気さえなかった。

だから僕はとっとと辞められる若者がうらやましい。安定を捨てても自分のやりたいことがあって、実行に移す勇気がある。先のことはわからないなら、後悔するとは限らない。例えうまくいってもいかなくても、その先にある景色を見ることができるのは、勇気を振り絞った人だけだ。安定志向の大多数の人には一生できない「大企業を辞める」という経験。それはいつかきっと何かの形で役に立つ。いや、むしろ、会社を辞める勇気もないヤツは、この先生き残れないのかもしれない…。だからもし「辞めようと思うんですけど…」と相談されたら、僕はきっと言うだろう。「いいの!いいの!それでいいの!」って。

※ 本コラムの内容は全て個人的な発言であり、所属する組織や団体とは一切関係ありません。むしろ早く関係して発言できる身分になりたいものです。


佐藤理人(さとうみちひと)
電通 第4CRP局 コピーライター。
マーケティング、営業を経て、2006年より現職。
東京コピーライターズクラブ会員。
受賞歴:TCC新人賞、ACC銅賞など。

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