意外と死ねちゃう家庭の化学


美しい?危ない?花火大会

「夏は夜」とは枕草子の一節だが、こうも暑い日が続くと冷たいビールでも飲みながら、日本の夏の風物詩、花火でも見て乗り切りたいもんです。


美しさの秘密「炎色反応」

花火

花火はほとんどが手作業で作られるもので、それを支えるのが花火師の腕と化学だ。花火の色は炎色反応という化学反応で発生する。金属原子に熱を与えると、そのエネルギーを金属原子は吸収する。しかし、一部は吸収しきれずに光となって放出され、これがボクたちには色として認識される。この色は金属原子によって違っており、金属原子の組み合わせによって微妙な色(橙色かかった黄色とか)を表現できる。この組み合わせ、色のセンスが花火師の腕の見せ所であり、炎色反応を起こす金属元素を含んだ「星」と呼ばれるところの作成に彼らは多くの時間と労力を割く。炎色反応を起こす金属原子は良く知られているが(リチウムが赤、ナトリウムが黄など)、最近では微妙な色合いを出すために、花火の発光の波長を調べたり、燃焼温度の変化と影響を調べたりという化学的な試みがなされている。ちなみに、この炎色反応を身近なものを使って再現することも可能だ。消毒用のエタノールに金属原子が入った成分を加えて混ぜ、その混ぜた液を化粧で使うコットンに染み込ませる。そして、染み込んだコットンをお菓子作りに使うアルミカップに乗せて、フライパンの上で熱するだけだ。エタノールに火がついて、アルミカップの中で綺麗な炎色反応が進行するはずだ。金属原子が入った成分の例はこんな感じ
・ナトリウム(黄色く光る)⇒食塩
・カリウム(紫色に光る)⇒ミョウバン
・カルシウム(オレンジに光る)⇒乾燥剤の塩化カルシウム
・ホウ素(緑色に光る)⇒アリを駆除するホウ酸団子
・銅(青色に光る)⇒サンボルドーという園芸用殺菌剤
そして、やってみた結果がオキドキサイエンス社のホームページに載っている。これくらいなら家の台所で十分実験可能だ。もちろん、万が一のための準備(水バケツとか、水をたっぷり染み込ませたタオルとか)もお忘れなく。
もちろん、花火大会に出かけたときに、夜空を彩る化学反応を楽しむのも一興だ。ただし、ボクの研究室同僚のように合コンでひたすら炎色反応の話をしまくって、女の子にドン引きされた例もある。素敵なネタもホドホドにどうぞ。


花火の化学物質、人体への影響は?

花火が火薬を使った化学反応である限り、金属原子や、硫黄酸化物、窒素酸化物といった大気汚染をおこしたり気管支炎の原因になる物質が発生する。こういう細かい粒子の物質をまとめてPM2.5と呼んでいるが(中国から日本に飛来することで有名になったやつである)、花火大会で発生する量が人体に影響がないレベルなのか?というのは気になるところだろう。たとえば、中国の春節という正月のイベントでは爆竹やクラッカーを大量に使って祝うのが伝統だ。この春節の時はPM2.5の量が通常時の80倍になるというデータが報告され、北京市当局が市民に爆竹の自粛を呼びかける事態となった。
では、日本の花火大会は?と言う話になる。これに関しては、「きちんとしたデータがない」というのが現状だ。打ち上げ花火は地上200m 程度まで達し,PM2.5 を含む花火の煙(硝煙)の到達距離は数10kmにおよぶが、火薬臭さが感じられる程度で中国の春節時の爆竹による上昇とは比べものにならないという報告もあった。ただし、データや数字をもとにしてはおらず、専門家の提言(憶測と言っても良い)に留まっている。ボクは今の情報では花火由来の化学物質が危ないとも問題ないともいえない。だって、信頼できるデータがないのだから。気になる人(もともと気管が弱い人や妊婦の方など)はマスクをする程度の予防はしたほうが良いだろうね。
実はPM2.5は全国500 カ所以上で監視がされていて、その結果は環境省のホームページにもリアルタイムで載っている。なんで同じようなことを全国の花火大会でもやらないのかな?夏の夜の素敵な化学反応は、安心して楽しみたいもんだね。


あしど毒多(あしど どくた)
某大手食品メーカー研究室に勤務。
学生時代、実験でスペルミジンの合成に成功するも、衣服に付いたその臭いで変態呼ばわりされた苦い過去を持つ。
学生時代に得た「化学のすすめ」を合い言葉に、日常生活における化学を一般の人にわかりやすく伝えたいと日々尽力する化学オタク

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