「医者の言うことは聞いておけ」by Dr.ホッピー


感染症が空前絶後の大流行! 原因は薬のCMじゃ

感染症蔓延防止対策としてCM放送を考える

マイコプラズマ肺炎が大流行しておるようじゃの。

実はこの感染症、2011年も大流行と言われ相当なもんじゃったが、今年は国立感染症研究所感染症情報センターの発表によれば、全国の指定医療機関から報告された患者数は2012年10月21日までに、計1万7949人の感染報告があり、昨年1年間の報告人数を1293人上回ったとのこと。


Dr.ホッピー

マイコプラズマ肺炎はだいたい4年に1回の世界的な流行があり、オリンピック年とよく重なったので「オリンピック肺炎」とも呼ばれていた。2012年の今年は正にオリンピックイヤー、その名の通りドッカーンと大流行しておるの。特徴として、5歳未満の小さな子供やご老人にはあまり発症しない。ただし、昨今は乳幼児の事例も散見されておるようじゃから注意は必要じゃ。

マイコプラズマ肺炎の症状は発熱と咳である。よいか、症状は単に熱と咳だけ。なのにニッポン人の皆さまは総じて「カゼひいた」と勘違いしてしまうのだよ。来院した患者さんにレントゲン撮って肺炎像を見せて「マイコっぽいですね」っていうと「えっ!なんですかそれ?風邪じゃないんですかぁ!?」となるのだ。

オイラが思うに、製薬会社の「熱と咳は風邪なんです!」と錯覚させてしまう洗脳じみたCMが、年を連ねてマイコプラズマ(めんどいからマイコ)が大流行しておる要因の一つなのではないかと思うのだよ。

だからメディアや厚労省がどんなに「気をつけろ!」と警鐘を鳴らしても、どなた様もヒトゴト状態。だって自分は風邪なんだものって思っているからな。したがってマイコの蔓延を予防するなんぞ到底無理な話なのじゃ。本当に残念、情けない話なのじゃが、これはマイコだけでなく、咳や熱が伴う全ての感染症においてそうなのじゃ。製薬会社の風邪薬のCMは国民の感染症蔓延防止対策の一つとして即刻禁止とすることを提唱したい。


薬は大丈夫、しかし医者はやっぱり心配じゃ。

今夜のお食事

ところでこのマイコじゃが、どうやら治療に使っておった抗生物質に耐性を持ったマイコが流行っておるようじゃ。この抗生物質の名はジスロマック。数年前まではヨーロッパでは気道感染症に対しての第一選択薬としてガイドラインに進められていた薬。

普通の抗生物質は、内服後の血中濃度と比例して感染巣での濃度が上下し、下がると抗菌効果はなくなる。その間に細菌は増殖する。しかしコイツは血中濃度が下がっても感染巣に留まり、持続的に殺菌効果を発揮する。だから一日一回3日間内服するだけで7日間効いている。

どうじゃ、この薬の動態ってそそられるじゃろ。オイラ達が処方したがるのも無理ないじゃろ。その結果マイコにとってはちょくちょく出会うジスロマックなる殺し屋に殺られちまわないような耐性を獲得したわけじゃ。しかし安心せよ。他にもマイコに有効な抗生物質は少なくないので心配する必要などない。

一番大切なことは、咳と熱が出たときには嘘っぱちなTVCMを鵜呑みにしないことじゃ。

あ、ちなみに、医者の方も多くの医者がテキトーにペタペタ聴診器あてて、すなわちろくな聴診もせずに「風邪ですね」でハイ、風邪薬〜♪というヤブだらけだから始末が悪いのじゃが。。。