寄稿 ドロ舟日本の行方


コレジャナイ相場

質問 原油が下がっているのにガソリン代はあまり下がった気がしません。人手不足とか新卒学生は超売り手市場とニュースでは聞くのに私の給料は上がりません。でも食費は着実に上がっている気がします。これもアベノミクスがお金持ち優遇政策だからでしょうか?デモに参加すれば世の中を変えることができますか?(26才、会社員)



■僕の実力はコンナモンジャな〜い?

「こんなつまらない仕事をなんでボクがやらなければいけないんですか?」
「オレ様が本気出したら、そんなことはチョロイけどなんかカッコ悪くね」
「ウチの会社はバカな上司ばかり」
という不満を聞くことが多い。実際、今に限ったことでなく、5年前も10年前も同じだった。こういう人は、石に躓けば市役所に文句を言い、大雨で電車が遅れたら駅員に噛み付く。犬の〇〇を踏んづけても、きっと誰かのせいだと思う精神構造なのだろう。
仕事を回すにはいろんな作業が必要で誰かがやらなければならない。自分で会社を興してみればいわゆる“雑用”の多さで目が回るはずだ。しかし、その“雑用”がかなり重要であることが非常に多い。遊園地に行けば楽しいが、それはお金を払う側=サービスを受ける側だからだ。遊園地で働く側になると、お金を貰う立場なので大変だ。

学業や仕事に本気を出さないもの生き様なので自由だが、ほとんどの場合、結果が出ずに自分にツケが回ってくる。上司のグチはサラリーマンの潤滑油らしいが、「壁に耳アリ障子に目あり」。これも回り回って当人の耳に入り、知らないところで損をする結果になることもしばしば。コミュニケーション能力と謀略に優れた輩だと、意図的に他人のホメ言葉しか口にしないらしいが、この芸当はかなり高度で万人向けではない(そういう私には無理w)。

「でも食費は上がっている?」
それはそうだ。2012年の衆議院選でデフレ脱却を選んだのは日本国民の大多数だから。デフレ脱却=インフレとはモノの値段が上がることだ。それが上がって文句を言うなら、別の政党を支持して「二番じゃダメなんですか?」といってデフレと失業の時代に戻してもらえばよい。
そしてデモだが、国会議員が怖いのは選挙だけだから痛くもかゆくもない。とはいえ、日本では集会・結社・言論は自由だから止めはしない。ただし、そんな時間を自己研鑽や起業準備に充てたほうが、結局のところ不満のモトとなっている「金儲け」には繋がるはずだ。


■ちなみに大相場の崩壊もコンナモンジャナ〜イ

そんな質問者さんに目の前に大きなチャンスがあることを教えておいてあげよう。前回のサブプライムバブルの地価のピークが2006年、株価のピークが2007年だった。そして、8-9年経過した現在、米国株は2007年高値より3割も高く、ドイツ株は2割高い。日本株だけ日経平均でほぼ高値と同じ、TOPIXだと2割安いが、高値圏にあるとはいえる。そして6月に中国上海株のバブルが崩壊し、既に高値から4割も下落している。「中国はバブルではない」、「中国株下落は日本経済に伝播しない」と6月に主張していたエコノミストたちはだんだん声が小さくなってきた。これはいつもの巨大バブル崩壊のパターンなので、これから1-2年はBumpy market(凸凹道を行くような相場)が続くだろう。

そして、実際に大暴落となれば世の中に不満たらたらの質問者さんにとっては一発逆転のチャンスといえる。どう活かすか知りたいって?正解は一つではないが、下記のコラムが参考になるだろう。

◎量的緩和バブル」の終わりのはじまり

◎中国株は2007年の再現か?波乱に備えるほったらかし投資法

◎暴落で稼ぐバフェット氏流の投資を目指すためにピッカピカ銘柄リストを作っておこう!

◎本家恐怖指数(S&P VIX)で長期投資の大底を探すには

(念のため付言すると、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではない。)


土居雅紹 (どいまさつぐ)氏
土居雅紹 (どいまさつぐ)氏
eワラント証券株式会社
チーフ・オペレーティング・オフィサー
CFA協会認定証券アナリスト(CFA)
(社)証券アナリスト協会検定会員(CMA)

ラジオNIKKEI「ザ・マネー」月曜日のレギュラーコメンテーター。月刊FX攻略、Moneyzine、日刊SPA、ロイターなどに寄稿。著書に『勝ち抜け! サバイバル投資術』(実業之日本社)『eワラント・ポケット株オフィシャルガイド』(翔泳社、共著)など。