ヤフーのリアルタイム検索を朝テキトーにたたいてみると、バッカス神に刃向う“二日酔いの恨み節ツイート”が連日大量に吐き出されておるよ。気の毒なのは未だにウコン・肝臓水解物ドリンクが二日酔いに効くと信じさせられている人々が恐ろしく多く、これらのツイートの一つ一つが絶大な口コミ効果を産んでいる。まさにメーカーは笑いが止まらん状態であろう。効果が無いのに「有る」とウソこいてプラシーボ効果で「やっぱり効く」と信じ込まされたクチコミが大量発生しているのは、偏に日本の製薬会社と広告会社の努力の賜物そのものである(怒・怒・怒)。
しかし、買っちゃった皆さん、効いたー!といっている皆さん、どなたにとってもお気の毒な話だが、はっきりいってどれをとっても二日酔いには効かない。飲む前に飲んだところであんたの肝臓はキャパ以上にはアルコールを分解できない。
つまり何の効果もないってこと。
国民の皆さん、どうか目を覚ましてくだされ。「効いた」はアナタ自身の勝手な思い込み、すなわちプラシーボ効果であると。
そこでツイートをもう少々細かく眺めてみると、素人の皆さんがおっしゃるエセ二日酔い薬はたくさんあってキリがないことがよくわかった。この際全部まとめてバッサリ効きませんよ!と断言しておこう。文句があったらDr.ホッピーのfacebookにどうどう書き込んでくれい。
んで、中でもちょっと気になったンで代表として「シミ・そばかすにターンオーバー」のあの薬に登場していただく。この薬、ホームページに『L-システインはシミだけではなく、アルコールを代謝する酵素の働きを助けるから、二日酔いにも効果を発揮します。』と堂々と薬効が“二日酔い”と謳っている。しかしオイラ達が読む医薬品情報の〈効能・効果〉のところには“二日酔い”は…ない。それでもアルコール代謝に対しての作用があるかも…と酵素関係を調べた結果、オイラの得た答えは「L-システインはアルコール分解酵素に極わずかでも影響を与える可能性が全くない、とは言えない」程度。
この薬のホームページにもあったが、多くの「海外医学雑誌にも掲載され…」ってのを信じてはいけない。
まず、論文そのものにレベルが存在する。エビデンスレベルが評価され、論文の推奨グレードなどが定まる。最低評価などは「患者データに基づかない専門委員会や専門家個人の意見が述べられており、低いレベルの根拠のみで行わない方が良い」などと評される。一方、「高いレベルの根拠をもっており強く勧められる論文」もある。これが科学雑誌の現実である。
そして信頼おける雑誌とは優秀な論文(高いレベルの根拠をもっており強く勧められる論文)が多く掲載されているものである。では優秀な論文とは何か? それは次なる論文に引用される内容を持った論文である。すなわち、掲載論文の引用回数が多い雑誌が、優れた論文を掲載している優れた雑誌として評価されるのだ。それを数値化したのもがインパクトファクターという。
英語で海外雑誌に掲載されたって、ソイツがインパクトファクターの低い雑誌だったら、「ホニャララがハニャララに効く」などと言えないのである。健康食品やトクホ(特定保健用食品)にくっ付いているデータなんざ大抵その程度のレベルだと思う。だってソイツらって医薬品になっていないンだもん。根拠と実証がないから医薬品になれないんだよな…。
よいか、はっきり言っておく。
医学薬学に関するアナタ方の意見・集合知なんぞ、おおよそ間違っておるのだ。見ず知らずの人間の無責任な口コミを簡単に信じる…害がないなら良いのか? そして根拠のないデータで買わせる方は詐欺であり、人を騙しているのである。人の道を外して良いのか?誰かが言わなきゃ変えられない。だからオイラが吠えてやる。次はグルグルグルグルグル膝を回しているヤツにする?