「医者の言うことは聞いておけ」by Dr.ホッピー


わりと健康だった人の「がん」は......命を落としやすいよ。

寛仁親王66歳、尾崎紀世彦69歳、ザ・ピーナッツの伊藤エミ71歳、御法川靖子66歳(みのもんたの奥さま)…学会での親王の特別講演は楽しかった。(敬称略)大変残念なのは、みなさんずいぶん若くしてお亡くなりになられたことで、さらに自分の年を重く感じてしまう今日この頃じゃ。そして死因はどの方も癌が原因とされている。


今夜のお食事

ということで、読者のみなさん、そして周囲の方々、改めて“がん”を考えてみてくれ。最も大切なことは危険因子すなわちリスクファクターからの回避。すべてのがんに共通するリスクファクターは“タバコ”。アナタががんにならないという保証は一つもないンだからさ、吸っている御仁はソレをやめれ。


そして早期発見。「がんと診断されるのが怖い!」そういってがん検診を受けない年配…いやいや若ぇ輩ですらおるそうじゃが、その考えは誤り。あのな、以前から有名人ががんで亡くなったって報道されると「がんって死ぬ病気なんだな」ってイメージになるが、本当は逆で、がんってヤツは患っていても早期の状態ではその人に自覚症状がない、すなわち健康そのものの生活ができているから「自分は健康なんだ」と健診を受けなかっただけのコトなんだ。

よいか、がんは進行して初めて症状がでる。健康だと思って生活、そして何らかの症状の自覚、病院で検査、見つかったモノは進行したがん。転移も見つかった。転移巣は画像診断ですべて見えるものではない。「全部取りきれました。99%大丈夫です」の先生の一言に安心してはいけない。残り1%はどうなるんじゃい。後に人類の英知を尽くしても確認できなかった転移が大きくなって「残念ながら…」となってしまうのが“症状が出てから発見されたがん”なんじゃ。


それから、「がんは痛い病気」と思ってる人も結構多いが、これも誤解。先に言ったように早期のがんは全くの無症状で痛みを感じることはない。痛みがでる状態っていうのは、がんが痛覚神経に浸潤していることが原因。その場合がんを切除するのに神経まで切除しなければならないから、「手術できません」となる。要するに手遅れ状態。


Dr.ホッピー

あと、言葉として「悪性のがん」という発言もしばしば耳にするが、100%間違いであるからこれも覚えておくように。病理学では上皮性悪性腫瘍を“がん”と定義しているから、“がん”は全てもれなく悪性なのじゃ。ただし、「悪性度の高いがん」という表現は存在する。

もう一つ。白血病のことを「血液のがん」といったり、悪性リンパ腫のことを「リンパのがん」といったりするが、定義からは間違いなのでやめてほしいものじゃ。白血病や悪性リンパ腫は、正確にいうと“肉腫”に分類される。肉腫とは、血管や骨といった非上皮性細胞由来の細胞が悪性化したものをいう。


良いか。「何の具合の悪いトコロがなくって健康だから」という理由で検診をしていない人に限って、“ある日、突然衝撃的な宣告”を受けることになっちまうんじゃよ。悪い事は言わん。強引にでも機会をつくってがん検診しなさい。女性は子宮がん検診と乳がん検診もだゾ。