今回疑惑の目を向けられているのはノバルティスのディオバンだ。世界でピーク時には6000億円以上を販売し、日本国内でも12年に1083億円を売り上げた大型新薬で武田薬品工業や第一三共などからの競合薬が存在する。
さあ本題はここからだ。なぜ「有効性あり」が発売後調査で「有効性なし」になってしまうか。
想像に難しくないと思うが、新薬には巨額の開発費がかかる。基礎研究、動物実験を経て開発の最終段階である“治験”では、人体の有効性・安全性を確認する過程である。試験管内の反応や動物実験で優れた結果が得られていても、ここでコケたら何百億が無駄金に……。開発費だけでも回収したくなるわな。ということで、最終段階で結果の改ざんが行われやすいワケじゃ。
ホレホレ、なんだかきな臭い感じがするじゃろう。巨額の予算と膨大な開発時間という巨大船だけに、たとえば進行方向が間違っていたとしても、走り出したら止まれない。ここからはおいらが知っている事実を暴露する。
打ち合わせと称して治験期間の前、中に接待。終わって次の機会もよろしくとまた接待。美味しいモノを頂いたんだから「このクスリあんまり有効はでなさそうだけど評価は少し上げて記入」ってなのが医者の手心。何も変わっていないのに「胃のビランが改善した」と評価するのも同様。そんな都合のよい医者の情報が他社に伝わって「あの先生は組みやすし」と他社もまたまた依頼。と、バブル時代を含めた過去の治験や市販後調査はいい加減だった。
チョイと接待して高評価に上げてもらって不足分はデータ改ざんで補う。こんな感じで完璧に有効なクスリに仕上げればそりゃアンタ、厚労省は「こりゃ良いクスリである」となってバーンと「承認っ!」だわな。そして市販されて臨床医の手元に改ざんデータで納得させてバンバン使ってもらって、結果開発費以上に売り上げて一部はお世話になったお医者さん達に接待で還元。これって国民の健康を全く無視した悪行三昧そのものじゃねーか。オイラは過去に「担当医師の評価欄へは鉛筆で○しておいてください」と言われたことがある。鉛筆なら修正できるもんな。都合のいいように。
そして10年も使われてりゃ「思ったほどの効果が見受けられない」と現場で疑問が出てくる。そんな声を聞き、自社で第3者の治験会社に依頼して市販後調査。「実は効果がありませんでしたスミマセン」「承認のデータは紛失してしまっていて当時の詳細は不明です」「しかし自社の製品を再調査してその結果を隠さずお伝えしていますので弊社は優良です」ってのがお約束のパターンだろう。
「過去に行われた他の有名な臨床研究にも疑惑が“飛び火"する可能性がある」
そんな話も出ているそうだが、しかるべき機関が調べりゃ出るに決まってんだろ!
命よりも金、金、金。
悲しいかな、そんな話なのだ。