確定申告は、毎月の給与から天引きされた税金から、過剰に払った分を取り戻せるチャンスです。毎年、年末近くなると会社に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」(以下、「扶養控除申告書」といいます。)を提出していると思います。住所氏名欄はわかるけど、その下の欄は、専門用語ばかりのため「多分(・・)こんな感じでいいや」であとは会社任せにして提出していませんか?その「多分」で済ましてしまっているために本来はもう少し税金が戻ってくるはずが損をしている可能性があります。
例えば、以下の例の状況にある方もしくはそれに近い方は今一度ご自分の申告書を確認してみてください。
例えば、同居をしていないご両親がいて、お二人とも70歳以上、月10万円の公的年金を受け取っているが、月8万円を仕送りしている場合。
このケースでは、太字の部分がポイントとなります。
まず、同居をしていない時点で、私の回りではかなりの確率で税務上の扶養から外れてしまって扶養控除を受けられないと思っている方が多いようです。税務上の扶養の意義は、「同居をしているか否か」で判断するわけではありません。「生計を一」にしているか否かが一つの判断基準となります。
そこで、「生計を一」とは?ということがあります。これを噛み砕いて説明すると、①地方の両親と日常は同居していないが、休日や余暇などを一緒に過ごしている場合で、②家族間で生活費、学費など仕送りをしている場合に生計を一にすると判断されます。
つまり、例示でいうと同居をしていなくとも月8万円の仕送りをしているため控除対象の扶養親族の要件を1つクリアしています。
次に月10万円の公的年金についてです。扶養控除申告書には控除対象の扶養親族欄の右から2番目に「平成●年分中の所得の見積額」を記載する欄があります。こちら、そのまま、所得金額ではなく年収の金額いわゆる額面金額を記載していませんか?
控除対象の扶養親族の要件の2つ目は、扶養親族の年間合計所得金額が38万円以下の方となっています。つまり、月10万円の公的年金の場合、額面の金額は年間120万円となりますので、38万円を超えてしまってますが、控除対象扶養親族から外れてしまうという訳ではありません。公的年金等控除額を差し引くと、ご両親の所得はゼロになりますので、この所得制限の基準もクリアとなります。
さらに、ご両親とも70歳以上の場合は、「老人扶養親族」に該当し、ご両親それぞれプラス10万円の48万円が控除額となります。
一番お金がかかる年齢の19歳以上23歳未満の就労していない子供は「特定扶養親族」になり、一人当たり63万円の扶養控除を受けることができます。
このように、今回の例でいうと、勘違いをしてしまってご両親を控除対象の扶養親族に入れなかった場合の控除額はゼロ。それに対して、ちゃんと理解して控除対象の扶養親族に入れた場合は、96万円の扶養控除を受けることができるのです!
年末調整をする会社は皆様から提出された扶養控除申告書をベースに年末調整をしますので、記載している内容をすべてチェックしていない可能性もあります。そうなると、本来、支払わなくてもよい税金が戻って来ません。既に、年末調整が終わってしまったが、該当するという方は、自身で確定申告を行えばで還付を受けることができます。
最後に扶養控除の適用関係と控除金額をまとめると以下の通りとなります。