12/28 sat

寄稿 ドロ舟日本の行方
  • 反対するなら知恵を出せ
  • 質問 消費税増税で給料が上がらないのに物価だけ上がった気がします。増税と弱者切捨てばかりが目立ち、いったい誰のための政府なのかと考えてしまいます。国民のことを本当に考えてくれる政党はどうして政権を取れないのでしょうか?(38才、会社員)


  • ■権利を主張するなら、自分の頭で考える
  • まず、“みんなのため”のように聞こえる主張と、問題点を整理してみよう。


    消費税上げるな
    → 100兆円の歳出の約半分しか税収が無いよね。どうする?

    所得税を上げろ
    → 少子高齢化で現役世代のサラリーマンはもっと減るよ。

    年金減らすな
    → 歳出のうち約3割が年金や生活保護といった社会保障費だよ。

    公共事業の無駄を減らせ
    → 国の公共事業は歳出の6%。半分にしても焼け石に水。

    地方経済を守れ!
    →地方交付税交付金は16兆円もあるよ。税収無いのに。

    公共サービスの質を落とすな
    → えっ? 上の要求と矛盾してるし…

    子孫に1000兆円の借金を残すな
    → 年金減らして、税金を上げないと無理なのは分る?


    防衛費減らせ
    → 全体の5%減らしても意味なし。中国の軍事費は日本の4倍の20兆円よ。

    日米安保反対!
    → 米国の軍事費は60兆円、日本独自防衛なら3倍の15兆円は要る。

    核武装反対!
    → だから米国の核の傘に入れてもらっているでしょ。ウクライナ、チベット、ウイグルの歴史を学んだ方がいい。

    戦争反対!
    → 日本は70年間戦争してないけど、米中ロ朝韓はずっとやっているね。


    物価を上げるな
    → デフレだと会社がバンバン潰れるけど分かっている?

    原発稼動絶対反対
    → 電気代は上がるし、原油や天然ガスだと空気も汚れるけど…

    再生可能エネルギーにしろ!
    → 電気代は上がるのはOKだよね。あと時間も要る。

    電気代上げるな!
    → では、どうしろと…


    円安で生活が苦しくなった
    → 輸入品が安く買えると日本人の仕事がなくなるよ。

    大企業からむしりとれ!
    → 日本から出て行っちゃうよ。

    賃金もっと上げろ
    → 企業は利益をあげないと潰れるよ。GMみたいに。

    雇用を守れ
    → 経済のグローバル化で優秀な途上国の人材が何倍も雇えるのは知ってる?

    と挙げてみればみるほど、いわゆるサヨクや“誰かがなんとかしてくれることでしょう党“の人たちの主張がいかに無責任であることか。野党だった政党がいきなり政権をとって3年間で日本をボロボロにしてしまった理由が分かるはずだ。

  • ■金利は上げずに物価は上がり、年金を減らして財政破綻を防ぐ
  • 現政権の施策に対して、市場関係者や企業家からの評価は高い。「先生も 選挙に落ちれば タダの人」というのが政治家だ。一票の価値が高い地方に多く住み、選挙にしっかり出かける高齢者に不評な年金引き下げは無理ということは容易に想像できる。
    となると、ギリシャのように財政破綻の憂き目を見ないためには、物価を上げて相対的に年金水準を引き下げる“ゆでガエル年金減額”しかないだろう。1000兆円も借金があるから、国債金利が5%になったら50兆円も利払いが必要になってしまう。だから、物価を上げつつ、金利が上がらないように日銀が国債をガツンガツン買い支えることになる。前代未聞の経済学の常識を超える政策ではある。所得税を払わない温泉めぐり老人が増え、働く人が減るから企業が縮んで法人税も減る。必然的に多数派の老人からも徴収できる消費税を上げるしか方法はない。
    自国通貨を切り下げている米欧中韓に日本企業がせり負けないためには、円安誘導は必須だし、それでインフレになれば日本に残った企業の経営が楽になる。サヨクの人たちに評判が悪いアベノミクスはことごとく筋が通っている。“日本を取り戻す”には、尾根の上の細い峠道を上手に通っていくしかないことを経営者や実務家は分かっているのだ。

    だが、もっと良い案があるというなら、どんどん提案してみるべきだ。今はだれでも不特定多数に発信できる時代だから、30年偏向記事を書いてきた紙媒体は窮地にたたされている。支持者が集まって、それでも政治が動かないなら自分で政治の道に飛び出せばよい。
    ビジネスにおいても、人の案をことごとくけなして自分の権利を主張するだけの人間は嫌われる。いつでもどこでも、反対するなら知恵を出せ。

    (念のため付言すると、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではない。)

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