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寄稿 ドロ舟日本の行方
  • バブル最高!?
  • 質問 景気が良いという人の話も耳にはするものの、消費税増税で私の実入りは減った気がします。円安で株価は上がっていますが、海外のニュースはきな臭いものばかりです。日本の景気や株価は一体いつまで大丈夫なのでしょうか?(48才、会社経営)


  • ■好景気なのか、見せかけだけなのか?
  • どうやら2012年末に予想したとおりに「バブル最高!」となってきた感がある。テレビ番組は海外ロケが増えたようだし、ちょっと前までの「貧乏旅行礼賛」とは対極をなすようなつくりが多いようだ。雑誌広告でも、1980年代末に見かけたような高額商品が目に付く。
    「そんなことはないはずだ。消費税増税で私の生活は苦しくなった」
    「円安で物価が上がった。潤っているのは一部の金持ちだけだ」
    と言う声もあろう。しかし、これも2年前から言っているように、労働者の賃金に好景気が反映されるのは最後の局面となるのがお決まりのコース。逆を言えば、“だれかが文句を言っているうちは良いが、誰も言わない時間はそう長くはない”とも言える。

  • ■「何かヘン?」と思わなくなる時が一番危ない
  • 最近、「お客様感謝の集い」などと称して、数年来じっと息を潜めて解約されないように大人しくしていたファンド運営会社などが、かなりお金をかけて大規模なイベントを開催することが増えているようだ。「投資家目線の良い会社だなぁ」と感心しているようでは、永遠に素人投資家からは抜け出せない。老練な投資家ならこんな発想をするはずだ。

    「お金がかかるだろうなぁ」
    →「どのファンドも羽振りが良いってことか」
    →「サルでもネコでも儲かる相場なのかも…」
    →「それにしても参加者多いなぁ」
    →「塩漬けポジションがプラ転して、もっと投資する気になっている人が多そう」
    →「そろそろヤバいんじゃない?」

  • ■タイミングは誰にも分らないが、危険水準にある?
  • 米国の株式時価総額とGDPを比較する「バフェット指標」では、米国株は既に「要警戒水準」にある。「米国株が下がっても2020年のオリンピックまで日本株は安泰」などというノーテンキな相場傍観者の意見を真に受けてはいけない。2012年ロンドン五輪があっても2008年リーマンショックは起こっているし、英国もショックの影響は免れる事ができなかった。
    中国本土株指数やハンセン指数は2007年の高値を回復できないまま、再び下げ始めているし、中国不動産バブル崩壊の懸念が大きくなっている。香港の学生デモが第二の天安門事件になる可能性も出てきたし、ウイグルの暴動と鎮圧は既にニュースにもならない頻度となってきた。1年7ヶ月上げていた英国の不動産価格も下げ始めているし、経済制裁合戦で欧州もロシアも経済的にさらに厳しくなりそうだ。イスラム国は膨張する一方だし、欧米で大規模報復テロを狙っているという報道もある。コンピュータ社会をマヒさせかねない基幹OSの欠陥も次々と見つかっている。
    諸状況を鑑みると、既に膨らんでいる水風船の周りに、それをつついて破裂させる可能性がある無数の針が取り巻いているような状況だ。“転ばぬ先の杖”を今一度考えてみる必要があるだろう。

    (念のため付言すると、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではない。)

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