- インフルエンザか!?熱が出たら一日待て。
前回はほとんど微熱程度で元気なインフルエンザマダムの話をした。今回は追加指南じゃ。
38.5℃以上がインフルエンザであると決めつけるなよ!
症例1。 3日前から強い全身倦怠感と熱で受診。熱は37℃台に下がることもあるが何回測っても体温は最高38.3℃。38.5℃以上じゃないんで「インフルエンザとは違うハズ」とガタガタ寝込んでいたがやっと38.6℃に到達っ!したんで受診したんだと。検査はやはりインフルエンザだったが、発症からまるまる3日を経過しての診断なんで抗インフルエンザ薬は効かない…。発熱という発症から48時間以内投与が勧められている。生真面目な彼の治療が遅れたのはメディアの責任である。
ちなみにタミフルとかリレンザとかの抗インフルエンザ薬はインフルエンザウイルスをやっつける薬ではない。それらは単にインフルエンザウイルスの増殖を抑える薬なんじゃ。このアタリは後に指南いたす。症例を重ねよう。
- インフルエンザは熱が“続くもの”も誤り
症例2。 熱発時39℃でしたが以降37℃台なので風邪ひきましたと来院。マスクもせずに。フツーに鼻かんで待合。このヒトも72時間後の診断。待合室で鼻かんであちこちにウイルスなすりつけていたんじゃ。高熱から微熱へ…。平熱まで下がったひとも数知れず。つまり「36℃に熱が下がった!治った!」と判断してはいけないっていうコト。根拠はないが12時間以内に再び“発熱”、つまり37.5℃以上になったら発熱性感染症は続いていると考えよ。また、平熱なのに反応が出た、というのをたまに聞くが、それは偶然平熱期に検査をしただけのことで、検査以前には発熱しているはずである。
発熱後2〜3時間でクスリをチョーダイって来られてもさ
とは言うものの、発熱後2〜3時間しか経っていない受診で「クラスで流行ってます」「仕事場で3人ほどダウンして…」だからクスリをチョーダイって来られてもさ、コチとら検査でインフルエンザ陽性を確認しなければクスリを処方できないンだよ。だってさ、タミフルの異常行動の件は日本では解決されていないし、吸入薬のリレンザでも異常行動の報告もある。報道されていないだけじゃ。だからインフルエンザに罹っているっていう大義名分が必要なんじゃ。日本では。そんな方へは「24時間後に来てもらって検査しましょう」でお帰りいただくしかない。
ガタガタするだろが。鼻水もでるだろうが。それは病気と言えるか? それを「クスリ飲め」だと?追加すると、「フシブシ痛い、インフルかも…」。アンタも熱測ってこい。
- 抗インフルエンザ薬について指南
基本的にインフルエンザは5〜7日で自然に治る病気である。さて、タミフルを開発した製薬メーカー“ロシュ”はスイスにある。スイスの国民は自分がインフルエンザと診断されたときに「タミフルちょーだい」と希望するのは4人に1人、と聞いたことがある。理由は「自然に治る病気にどうして薬が必要なの?」と。
自然に治るのは、体内に侵入したインフルエンザウイルスに対しての免疫力(以下、抗体)が高まってウイルスを破壊してくれるから。ただし増えまくったウイルス量に対抗できる量の抗体が十分に備わるのに5〜7日かかってしまう。だから治るまでにそれだけの日数を要するワケ。
検査キットに反応しやすくなる熱発12時間以降であっても、ウイルス量は膨大ではない。その時期に薬を使ってウイルス増殖を抑えてウイルスを少数にしておけば、少ない抗体量であってもウイルスを全て破壊できる。すなわち1〜2日で“薬で早く治せる”のだ。
さて、熱発後48時間を超えた時のウイルス量は膨大となりピークを迎える。その時期ではウイルスを抑えたとしてもそれに見合った抗体の産生が追い付かない。追い付くの5〜7日。すなわち、48時間たっちまったら薬使っても使わなくても同じ経過、つまり薬は“後の祭り”で治るのに結局5〜7日かかっちまうんじゃ。
- 平熱になっても元気になっても感染性がなくなったワケではない。
抗インフルエンザ薬を用いて治療し、熱が下がって楽になれば「治ったゼ。快気祝い!っだっゼ」となる。しかし、薬を用いて平熱化した後もウイルスが分離されていることが確認されている。すなわち、薬使った場合において平熱になって元気になっても感染性がなくなったワケではない。逆対数曲線的にパーセンテージが下がるが、1週間後で2%程度にウイルスが確認されているのだ。
真面目に家族や同僚、他人への感染を予防したいと言うならば、アンタの鼻水が感染源と考え、鼻水かんだ手はアルコールで消毒するかよく手を洗いたまえ。マスクもしておけ。
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