11/24 sun

「医者の言うことは聞いておけ」by Dr.ホッピー
  • 風疹に罹ったはず?のあんたが悪い理由
  • 東京都感染症情報センターによると2004年以来の風疹流行らしく、昨今TVでも騒いでおる。TVを間に受けてネットで調べたあんたの感想は、はて?風疹なんてそんなに大げさに騒ぐ病気じゃあねえし、罹ったところでいわゆる三日ばしか。ほっときゃ治る病気ダロ?大したことはないじゃん。。。とお考えのアンタ!自分が不都合を被らなければ良しという考えの輩が多いから感染症が蔓延するんじゃ。しかも「お袋に聞いたら罹っている」から俺は安心だとぉ?甘いんじゃ!これから目ン玉ひん剥いて読むように。

  • まずはおさらいから…
  • Dr.ホッピー
  • まずはおさらいから…
    風疹ウイルスが引き起こす注意すべき疾患は「先天性風疹症候群」だ。これは妊婦が20週くらいまでの妊娠初期に風疹に罹患すると、風疹ウィルスが胎児に感染し、出生児に先天性風疹症候群(CRS)なる障害がでることがあるのだ。発生率は妊娠1か月以内で約50%、妊娠3か月以内で20%である。障害の内容も、目の異常(白内障、小眼球、網膜の病変)、聴力の障害、心臓の形態異常(動脈管の開存、心室や心房の中隔欠損、中枢神経系の異常(水頭症、小頭症、精神発達遅滞)、歯の異常などと重たいものばかり並ぶ。

    だから風疹に罹ったことのない妊婦はその家族も同様に十分気をつけなくてはならないし。一歳の赤ちゃんに麻疹と風疹の混合予防接種を行うのはそういった理由からで、まだ次の子を産む可能性のあるお母さんを守る為なのだ。

  • 発疹だけで風疹は診断できない!
  • 風疹は抗体検査をしなくては診断できましぇ〜ん。一度罹れば二度と発症しないはずの風疹。しかし“二度罹り”に遭遇することがある。へたすりゃ三度もあるかもしれん。なぜじゃ、ドーシテじゃ!! これが今回のキモとなる。

    じつは、 風疹と全く同じような発疹が出る臨床像を呈する感染症がある。代表的なのがエンテロウイルス感染によるもの。皮膚科、小児科のスペシャリストも発疹だけでエンテロウイルス感染を区別できない。しかしコイツが引き起こす重大な余病はないのだ。重ね重ねだが、発疹は全く風疹と同じであるにもかかわらずだ。このようなものであっても、現場の愚かな医者は、風疹様の発疹が出た患者さんが診察室に入るやいなや、パッと見るなり相手は発疹性感染症と即座にサーチ。何となく距離を置きたい…つまり早く診察室から退出してほしいからチョロっと見ただけで「ハイ、風疹。発疹消えるまで自宅にいてね。はい、サヨナラ、とっとと出てってね〜」となる。


    つまり、風疹ではなくエンテロウイルス感染なのに“風疹の罹患”とされてしまうワケ。だから「お袋に聞いたらアンタ罹ってるから大丈夫」じゃね〜場合が恐ろしく多いんじゃ。これは大変な問題なのだ。

    ちなみに風疹の徴候として“耳介後部のリンパ節腫脹が特徴”とあるが、耳介後部のリンパ節腫脹がなかった風疹の患者さんを診させてもらったことがあるし、耳介後部のリンパ節腫脹があった風疹でなかった風疹様発疹の患者さんもいた。

    う〜ん、じゃあどの様に診断してもらえば良いのか?ズバリ、抗体検査をする以外に方法がないのだ。

  • 予防接種の効果と男がすべきコト
  • 今夜のお食事
  • これは他の全ての予防接種にも当てはまるから記憶しておくように。予防接種の効果、すなわち免疫獲得には個人差があるというコト。抗体獲得には3パターンがある。
    ①ほぼ終生にわたって免疫が維持できる。
    ②一時的に免疫ができるが時間と共に消失してしまう。
    ③そして全く免疫が誘導されない。である。

    すなわち、過去に接種しているから安心してはいけない。

    ということで、以下まとめじゃ。

    発疹が出て、先生から「風疹ですナ」と言われたら確実な診断のために必ず抗体検査を頼め!

    そして妊娠可能な女子はもちろんのこと、妊娠計画あり&妊娠中の女性と同居している他の家族、特に50才以下の男は全員抗体検査をしておくべし。というのは、妊娠してから「抗体がない!」ってわかっても、妊娠が判明した時ではすでに2か月め突入しているから、先に書いたように先天性風疹症候群は50〜20%の危険率となってしまうし、予防接種は妊娠していたら行えませんから。50才以下の男は過去に予防接種をしていないから感染してしまう可能性が著しく高い。そんなアンタが妊婦さんに風疹ウイルスを感染させていいんかぃ?


    蛇足だが念のためにもう一つ。ハリス殿に"はしか"と"麻疹"って何が違うの?って意見をいただいた。今回話に出た“三日ばしか”と言われる風疹とはしかは全く違う。麻疹ウイルス感染症である“はしか”は肺炎と脳炎の合併症で命沙汰となる「命定めの病」といわれるくらいのもの。無論、抗生物質が効くはずはなく、すなわち特効薬もないなのでお間違いなく。抗生物質が効かないのは風疹も同じ。ご存じなければ教養としてご記憶ください。ウイルスに抗生物質は100%効きません。

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