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アラフォーのヘッポコピーライターが自らの失敗談で綴る、自戒と猛省の広告コラム
  • 個人的自衛権を行使する(前編)
  • アラフォーのヘッポコピーライターが自らの失敗談で綴る、自戒と猛省の広告コラム。

  • 第30回 <個人的自衛権を行使する(前編)>
  • 12月の頭に風邪をひいた。38℃の熱が出たまま出張(一泊)に行き、東京に戻ったら声が出なくなった。一週間後、今度はアメリカへ出張に行った。風邪が治ってよかった、一週間ズレて助かった!と思っていたら、分厚いアメ車のドアに指を挟んで骨にヒビが入った(後日判明)。アメリカは治療費が高いし、そもそも土日だったので病院には行かなかった。スーパーの薬局で買ったテーピングでどうにかしのいで帰国。一週間後、だいぶ良くなったとテープを外して喜んでいたら、知らない間にどこかにぶつけてヒビが再発、肉と骨がズレたような激痛が走る。今度こそはと整形外科に行き、再びテーピングでぐるぐる巻きの状態でなんとか年末年始を迎える。が、よりによって大晦日にインフルエンザにかかる。もちろん病院は開いておらず、熱と止まらない咳を抱え、寝たままで三ヶ日を過ごす。年が明けてようやく病院に行くと、似たような症状の人が37人も待っており、約半日を待合室でつぶす。診察の結果、完全に治るまで自宅待機となり、今週ようやく仕事始めを迎え、今に至る…というわけで皆さま、明けましておめでとうございます。僕はついに前厄に突入しました。この調子でいくと本厄にはどんな災難が待ち受けているのか今から縮み上がる思いです。

  • コンペティション
  • 仕事に関しては毎年が本厄のような僕ですが、今回は厄払いのために自分自身が心がけている(数々の失敗から学んだ)方法についてご紹介します。そのためにはまず、広告界一の嫌われ者「競合」についてご説明しなければなりません。競合とは企業が新商品の発売キャンペーンを行うにあたり、どんな戦略に基づいて、どんな広告を、どのくらいの量、どのくらいの予算で出稿すればいいのか、広告代理店に案を競わせるコンペティションのこと。キャンペーン予算は通常数億〜数十億円の規模なので、各社にとってはすべての競合が「絶対に負けられない戦い」になります。しかし当然、勝者がいれば敗者もいる。負ければやっぱり悔しい。なのに、意外とあっさりしている人がまわりには結構多い。特に上の人に限って多い。リーダーこそ誰よりも悔しがって、頭を丸めて、大いに反省するべきじゃないのか???なのに、そういう人に限って、

    「まあ、こういうときもあるよなぁ〜。
     終わったことはもうしょうがないよ、はっはっは〜」

    なんてケロッと笑っている。そんなとき僕はいつも思います。

    (ホントの戦争だったら、俺、死んでるな…)

    戦争や軍隊をテーマにした映画でよくありますよね。無能な隊長の命令に従っていたら部隊が丸ごと全滅したみたいな話。「永遠の0」とか「八甲田山 死の彷徨」とか。自分がもし同じ目に遭ったら果たしてきっぱり「NO!」と言えるだろうか…いやきっと大人しくみんなの後をついて行って、特攻したり凍死しちゃうに違いない…。。。

    電通はとかく人の多い会社。1つの打合せに20人を超える人数が集まることも珍しくありません。そういう場で勝つのは、いろんな意味で「声の大きい人」と相場が決まっています。しかも発言するのは多くてせいぜい5人。残りはスマホを見てるか、会議室の外で電話してるか。たまに何か言うと思えば、誰かの発言を言い換えただけの「言った感」を醸し出す無駄な相づち。もー、何も喋らないんだったら打合せに来ないで欲しいんですよね。それ以前に、手ぶらで打合せに来るなと強く言いたい。なぜなら、

    具体案のない打合せはただの雑談

    だから。僕の周りだけかもしれませんが、電通には批評家・評論家タイプが非常に多い。石を投げればコンサルタント気取りに当たるってくらいに多い。自分的「妖怪ウォッチがヒットした5つの理由」とかどうでもいいんだよ!お前は「日経エンタテインメント!」の編集長か!と喉まで出かかることもしばしばです。過去を分析するだけで新しいヒットが生み出せるんなら苦労はしません。大事なのはこれからの未来のヒットをつくること。批評してるだけで、何もアイデアを出さない人はハッキリ言って足手まとい以外の何者でもないのですが、そういう人が圧倒的多数なこともまた事実です。ではどうしたらそんなプチ評論家たちに足を引っぱられることなく、クライアントに喜んで頂けるいい提案ができるのか。自分にとっての「絶対に負けられない戦い」で、最近僕が取っている戦法が「個人的自衛権」です。それが何かと言いますと…、というところで字数が尽きちゃったので、続きは後編で。

    ※ 本コラムの内容は全て個人的な発言であり、所属する組織や団体とは一切関係ありません。むしろ早く関係して発言できる身分になりたいものです。

  • 佐藤理人(さとうみちひと)

    電通 第4CRP局 コピーライター。

    マーケティング、営業を経て、2006年より現職。

    東京コピーライターズクラブ会員。

    受賞歴:TCC新人賞、ACC銅賞など。

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