建設業 Sさん(29歳)
リーマンショック以降、会社の業績はゆるやかにダウンしており、大震災後の復興需要にも乗っかれていない中堅の建設会社です。当然、社員の賞与は以前の半分以下となり、出張手当や家族手当なども理屈をつけてカットされていきました。経費の絞り方もキツく、車両や重機などは古くてボロボロなのを騙し騙し動かし、パソコンは5年前のモデルを使い続けています。
会社の業績がなかなか上向かないという背景で人件費や経費が削られてしまうのはある程度理解できます。しかし、こういう時にまずは経営サイドが身を削って社員へ示しをつけるべきではないでしょうか。役員たちの社用車は相変わらず高級車ですし、ゴルフなどへも通っているようです。役員報酬は20%カットと通達されましたが、もともと結構もらっていたはずですし、もっとカットされてもおかしくないと思います。
経営陣には創業一族による血縁者が多い親族会社なのですが、それでも納得いきません。竹原さんはどう思いますか?
お前ら、経営者と従業員を平等じゃと思っとらんか? 経営者は自分たちの責任で銀行から金を借り入れ、リスクを背負って商売しとるんじゃ。お前らは身体ひとつで何もリスク背負っとらんじゃろ。ボーナスや手当はカットされるかもしれんが、会社がつぶれても借金の肩代わりせんでもええんや。そこんとこ勘違いすんなよ。
あとな、役員のゴルフはたぶん接待じゃろう。営業活動しとんのじゃ。そもそも、今はゴルフも前みたいに高くないしな。社用車が高級車のままなのも、要は「買い換えしていない」ということじゃろ。おそらくお前のパソコンを買い換えるまで、社用車はそのままじゃ。今のクルマは壊れんから、ギリギリまで乗りつぶしたほうが経済的じゃからな。
それでも文句があるんなら、自分で商売を興したらええ。俺はレストランを経営しとったから分かるが、お前も銀行からの借り入れや毎月の運転資金とかを実感したら、考え方も変わるじゃろう。
(原則として氏名等の個人情報は公開しませんので、ご安心ください)
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